不動産を相続したら?相続登記・売却・空き家の注意点を解説
親や親族が亡くなり、富山・石川にある実家や土地などの不動産を相続することになったものの、「まず何をすればいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
不動産の相続では、相続人の確認や遺産分割だけでなく、相続登記、税金、空き家の管理、売却など、さまざまな手続きや判断が必要になります。
特に、相続した実家に誰も住む予定がない場合は注意が必要です。空き家のまま所有していても固定資産税などの負担は続き、建物の管理も必要です。積雪や草木の管理など、地域特有の事情も考えておかなければなりません。
この記事では、土地や住宅などの不動産を相続した方に向けて、相続後に必要な手続き、相続登記の期限、不動産を売却・活用する方法、空き家を所有する際の注意点、税金や相談先まで順番に解説します。
不動産を相続したら、まず何をすればいい?
不動産を相続したとき、すぐに「売るか残すか」を決める必要はありません。
最初に行いたいのは、相続する不動産と相続人を確認し、その不動産を誰が取得するのかを整理することです。
実家だけだと思っていたところ、離れた場所に土地があったり、登記上の名義が亡くなった親ではなく祖父のままだったりすることもあります。まずは現在の状況を正確に把握しましょう。
相続する不動産の内容と名義を確認する
最初に、相続する土地や建物がどこにあり、誰の名義になっているのかを確認します。
固定資産税の納税通知書や課税明細書などから不動産を確認し、必要に応じて法務局で登記事項証明書を取得すると、現在の登記名義や土地・建物の情報を確認できます。
住宅の敷地が複数の土地に分かれていたり、自宅とは別に田畑や山林などを所有していたりする場合もあるため、「実家だけ」と思い込まず、亡くなった方が所有していた不動産を整理することが大切です。
遺言書の有無と相続人を確認する
次に、遺言書があるかを確認し、誰が相続人になるのかを確定します。
相続人を確認するときは、亡くなった方の戸籍などをたどって確認する必要があります。兄弟姉妹など複数の相続人がいる場合や、相続人が県外に住んでいる場合は、連絡や書類収集に時間がかかることもあります。
不動産の売却や相続登記を進める前に、まず相続関係を明確にしておきましょう。
遺産分割協議で不動産の取得者を決める
遺言書などで取得者が決まっていない場合は、相続人同士で遺産分割について話し合います。
例えば、「長男が実家を取得する」「実家を売却して現金を分ける」「土地と預貯金を別々の相続人が取得する」といった方法が考えられます。
不動産を複数人の共有名義にすることもできますが、将来売却するときなどに共有者間の調整が必要になります。将来の利用方法まで考えたうえで、誰が取得するのかを決めることが重要です。
相続した不動産の相続登記は必要?期限にも注意
土地や建物を相続した場合は、登記簿上の所有者を亡くなった方から相続人へ変更する「相続登記」が必要です。
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されているため、「売るときまで登記しなくてもよい」という考え方には注意しましょう。
相続登記は2024年4月から義務化されている
相続によって不動産を取得した相続人は、相続登記を行うことが法律上の義務となっています。
この制度は2024年4月1日より前に発生した相続にも適用されます。古い実家や土地が現在も亡くなった親や祖父母の名義になっている場合は、そのまま放置せず登記状況を確認しましょう。
相続登記は原則3年以内に申請する
相続登記は、原則として自分が不動産を相続によって取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
また、遺産分割協議によって不動産を取得した場合には、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に基づく登記が必要です。
正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
相続登記をしないまま放置するリスク
相続登記をしないまま時間が経つと、次の相続が発生し、関係する相続人が増える可能性があります。
例えば、親から相続した土地を登記しないまま相続人の一人が亡くなると、その人の配偶者や子どもなども関係する場合があり、後から権利関係を整理するのが難しくなります。
また、不動産を売却しようとしても亡くなった方の名義のままでは、そのまま相続人を売主として売買を完了することはできません。
遺産分割がまとまらず3年以内の相続登記が難しい場合には「相続人申告登記」という制度もあるため、必要に応じて司法書士などへ相談しましょう。
相続した不動産はどうする?住む・売る・貸すという選択肢
不動産を相続したら、その後どのように利用するのかを考えます。
主な選択肢は、「住む」「売る」「貸す」「しばらく保有する」の4つです。
大切なのは、相続した時点の感情だけではなく、今後の利用予定や維持費、建物の状態、立地などを考えて判断することです。
自分や家族が住む場合
実家を相続し、自分や家族が住む場合は、建物の状態を確認しましょう。
長期間空き家だった住宅では、屋根や外壁だけでなく、給排水設備や給湯器などに修繕が必要なことがあります。
今後長期間住むのであれば、必要な修繕・リフォーム費用まで含めて検討することが重要です。
売却して現金化する場合
誰も住む予定がない場合は、売却も有力な選択肢です。
不動産を売却して現金化すれば、相続人同士で財産を分けやすくなり、その後の固定資産税や建物管理の負担もなくなります。
一方で、売却価格や税金、仲介手数料などの費用も確認する必要があります。まずは査定を受け、どのくらいの価格で売却できる可能性があるのか把握すると判断しやすくなります。
賃貸などで活用する場合
住宅を残して賃貸する方法もありますが、「家があるから貸せる」とは限りません。
入居者を募集するための修繕費や設備交換、管理費、固定資産税などが必要になります。また、地域によって賃貸需要も異なります。
想定できる家賃収入と必要な費用を比較したうえで、継続的に活用できるか検討しましょう。
使う予定がない場合は早めに処分を検討する
将来住む予定も貸す予定もない不動産は、「とりあえず残しておく」ことで問題を先送りしがちです。
しかし、利用しなくても固定資産税や管理費はかかります。建物が古くなるほど修繕や解体が必要になる可能性も高まります。
今後利用する具体的な予定がない場合は、売却などを含めて早めに方向性を考えることが大切です。
富山で相続した不動産を売却するときの進め方
富山で相続した実家や土地を売却するときは、いきなり不動産会社と売買契約をするのではなく、相続関係と登記を整理してから進めます。
売却価格だけを見るのではなく、建物の状態や売却方法、必要な費用まで確認しましょう。
売却前に相続人と不動産の名義を整理する
まず、誰が不動産を取得するのかを決め、現在の登記名義を確認します。
相続人が複数いる場合、「売ること自体には賛成しているが価格について意見が違う」といった問題も起こります。
売却を本格的に進める前に、相続人同士で売却方針について話し合っておきましょう。
相続した不動産の価格を査定する
次に、不動産会社へ査定を依頼し、売却できそうな価格を確認します。
査定では、土地の広さや形状、接道状況、周辺の取引事例、建物の築年数や状態などが考慮されます。
古い住宅だからといって必ず建物の価値がないとは限らず、反対に建物を解体したほうがよいとも限りません。解体を決める前に、不動産会社へ相談することをおすすめします。
売却方法と不動産会社を検討する
不動産の売却には、大きく「仲介」と「買取」があります。
仲介は不動産会社が買主を探す方法で、市場価格に近い価格で売却できる可能性がありますが、買主が見つかるまで時間がかかることがあります。
買取は不動産会社が直接購入する方法で、売却までの期間を短縮しやすい一方、一般的に仲介より売却価格が低くなる傾向があります。
相続人が県外に住んでいる、早く不動産を整理したい、建物が古いなど、状況に応じて売却方法を比較しましょう。
売却に必要な書類を準備する
売却時には、登記関係の書類のほか、土地の測量図や境界に関する資料、建築確認関係書類などが必要になる場合があります。
古い実家では「どこに書類があるのか分からない」ということも少なくありません。
すべての書類が揃っていないから売却できないとは限らないため、まず手元にある資料を確認し、不足しているものを不動産会社などと整理しましょう。
相続登記を済ませてから売却する
相続した不動産を売却する場合は、相続関係を整理して相続登記を行い、売主となる相続人の名義にしてから売却を進めるのが基本です。
売却を急いでいる場合でも登記には一定の準備が必要です。相続人の確定や戸籍の収集に時間がかかることもあるため、査定と並行して早めに準備を始めましょう。
相続した実家を空き家のままにしても大丈夫?
相続した実家に誰も住む予定がなくても、すぐに売却する決心がつかないことは珍しくありません。
しかし、空き家になった住宅にも費用と管理責任があります。長期間放置することを前提にするのではなく、「いつまで保有するのか」を考えることが大切です。
空き家でも固定資産税などの負担は続く
誰も住んでいなくても、土地や建物を所有している限り固定資産税などの負担は続きます。
さらに、火災保険や修繕費、庭木の手入れ、県外から管理に訪れる交通費などが必要になる場合もあります。
年間では小さな費用に見えても、5年、10年と所有すれば大きな負担になる可能性があります。
富山では雪や草木など空き家の管理にも注意する
富山で空き家を所有する場合は、冬季の積雪にも注意が必要です。
屋根雪や落雪、雨どい・外壁などの破損が起きても、空き家では発見が遅れることがあります。また、春から夏にかけては雑草や庭木の管理も必要です。
県外に住んでいる場合は、自分で定期的に確認できるのか、それとも管理を依頼するのかも考えておきましょう。
管理されない空き家は近隣トラブルにつながることがある
建物や塀の老朽化、庭木の越境、害虫などは、近隣住民とのトラブルにつながる場合があります。
「誰も住んでいないから何もしなくてよい」のではなく、所有している間は適切な管理が必要です。
特に遠方から相続した場合は、現地の状態を一度確認しておくことをおすすめします。
将来使う予定がなければ早めに活用・売却を検討する
「いつか子どもが使うかもしれない」という理由だけで長期間保有する場合は、本当に利用する可能性があるのか考えてみましょう。
利用する予定が明確であれば維持管理を続ける意味がありますが、予定がない場合は、建物がさらに古くなる前に売却や活用を検討することも重要です。
相続した不動産にかかる税金と費用
不動産を相続すると、相続税だけではなく、登記費用や売却時の税金などが発生する場合があります。
ただし、「不動産を相続した=必ず相続税がかかる」というわけではありません。
相続税がかかるケースを確認する
相続税は、不動産だけではなく預貯金や有価証券などを含めた相続財産全体をもとに判断します。
基礎控除額は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
です。
正味の遺産額が基礎控除額を超える場合には、原則として相続税の申告が必要になります。相続税の申告・納税期限は、通常、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
不動産の市場価格と相続税を計算するときの評価額は同じではないため、財産が多い場合は税理士へ確認しましょう。
相続登記に必要な登録免許税などを確認する
相続登記では登録免許税のほか、戸籍などの取得費用が発生します。また、司法書士に手続きを依頼する場合は司法書士報酬が必要です。
不動産や相続人の数、過去の相続登記が済んでいるかによって手続きの負担も変わります。
特に何世代も前の名義が残っている場合は、必要書類が多くなる可能性があるため、早めに確認しましょう。
相続した不動産を売却すると譲渡所得税がかかる場合がある
相続した不動産を売って利益が出た場合は、譲渡所得に対して所得税や住民税などがかかる可能性があります。
譲渡所得は単純な売却価格ではなく、取得費や売却に必要となった譲渡費用などを差し引いて計算します。
相続した不動産では、原則として亡くなった方がその不動産を取得したときの取得費を引き継ぐため、昔の売買契約書などが重要になることがあります。
実家の書類を整理するときは、購入当時の契約書や領収書などを安易に処分しないようにしましょう。
相続した空き家の売却で使える3,000万円特別控除
相続した実家を売却するときは、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できる場合があります。
一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。ただし、2024年1月1日以降の譲渡で対象となる不動産を取得した相続人が3人以上の場合は、1人あたり最高2,000万円です。現在の制度は2027年12月31日までの一定の譲渡が対象です。
住宅の建築時期や相続後の利用状況など複数の要件があり、相続した空き家ならすべて対象になるわけではありません。
富山市でも、この特例に必要となる「被相続人居住用家屋等確認書」の案内を行っています。売却後に制度を知るのではなく、売却前に適用できる可能性を確認しましょう。
不動産相続について相談するならどこ?
不動産相続には、登記、税金、遺産分割、売却など複数の分野が関係します。
一つの専門家ですべてを解決するのではなく、相談したい内容によって相談先を選ぶことが大切です。
相続登記は司法書士に相談する
相続登記や不動産の名義については司法書士が専門です。
「祖父の名義が残っている」「必要な戸籍が分からない」「相続登記を自分でできるか分からない」といった場合は相談するとよいでしょう。
相続税は税理士に相談する
相続税がかかるか、税額がいくらになるのか、利用できる特例があるかなどは税理士へ相談します。
相続財産が多い場合や不動産を複数所有していた場合などは、早めに確認しておくと安心です。
遺産分割などのトラブルは弁護士に相談する
「兄は実家に住みたいが、自分は売りたい」など、相続人の間で意見がまとまらない場合は弁護士への相談を検討します。
不動産会社や司法書士が相続人同士の法的な争いを代理して解決できるわけではありません。トラブルになっている場合は、問題に合った専門家を選びましょう。
売却や活用は不動産会社に相談する
相続した家や土地を売却したい、価格を知りたい、賃貸できるか知りたい場合は不動産会社へ相談します。
査定額だけではなく、その価格になる根拠や販売方法、古い住宅や相続不動産を取り扱った経験なども確認するとよいでしょう。
何を相談すればいいかわからない場合は専門家に状況を整理してもらう
「誰に相談すればよいのか分からない」という場合は、まず現在の状況を書き出してみましょう。
相続人は確定しているか、名義は誰か、相続税が関係しそうか、誰か住む予定があるか、売却を考えているかを整理すると、必要な手続きが見えやすくなります。
登記なら司法書士、税金なら税理士、法的な争いなら弁護士、売却・活用なら不動産会社というように、問題に応じて相談先を選びましょう。
富山で不動産を相続したときに注意したいポイント
最後に、相続した不動産をそのまま放置しないために、特に注意したいポイントを確認しておきましょう。
相続人全員で不動産の今後について話し合う
誰が取得するのかだけではなく、「誰が住むのか」「売却するのか」「残すなら誰が管理するのか」まで話し合うことが大切です。
結論を先延ばしにするほど、管理費用や相続関係が複雑になる可能性があります。
相続登記を後回しにしない
相続登記には期限があります。
特に2024年4月1日より前に発生して未登記となっている相続も義務化の対象です。該当する場合は原則として2027年3月31日までが一つの期限となるため、古い相続ほど早めに確認しましょう。
誰も住まない実家を長期間放置しない
誰も住まなくても、固定資産税や管理の負担はなくなりません。
富山では雪や草木などの管理も必要です。県外に住んでいて自分で管理できない場合は、管理方法まで考えておきましょう。
売却を急ぐ前に税金や費用を確認する
不動産の売却では、「いくらで売れるか」だけでなく、「最終的にいくら残るのか」が重要です。
仲介手数料、測量・解体などの費用、譲渡所得に対する税金、利用できる特例などを確認してから売却方針を決めましょう。
不動産だけでなく土地・建物の状態も確認する
雨漏りや建物の劣化、残置物、敷地境界、道路との接道状況など、不動産そのものの状態も確認しましょう。
特に「古いから解体して売ろう」と先に判断するのは注意が必要です。
建物を残して売却したほうがよい場合もあるため、解体する前に査定を受け、土地・建物をどの状態で売るのが適しているか検討しましょう。
よくある質問
富山で不動産を相続したら最初に何をすればいいですか?
まず、相続する土地・建物と現在の登記名義を確認し、遺言書の有無と相続人を確認します。
その後、誰が不動産を取得するのかを決め、相続登記や今後の利用方法について検討します。
相続した不動産の相続登記は必ず必要ですか?
相続によって不動産を取得した場合、相続登記は原則として必要です。
2024年4月1日から申請が義務化されているため、売却や利用予定がなくても放置しないようにしましょう。
相続登記はいつまでにすればいいですか?
原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。
遺産分割によって取得した場合には、遺産分割成立日から3年以内にその内容に基づく登記が必要です。
相続登記をしないまま不動産を売却できますか?
相続した不動産を売却する場合は、相続関係を整理し、売主となる相続人への相続登記を済ませたうえで売却するのが基本です。
売却を予定している場合は、査定と並行して登記手続きを進めましょう。
相続した実家を空き家のままにしておいても大丈夫ですか?
一時的に空き家として所有することはできますが、固定資産税や建物管理の負担は続きます。
富山では雪や庭木などの管理も必要になるため、将来利用する予定がなければ、売却や活用を含めて早めに検討しましょう。
相続した不動産は相続人全員の同意がないと売却できませんか?
一人の相続人が不動産を取得して相続登記を済ませている場合は、その所有者が売却することになります。
一方、複数人の共有名義になっている不動産全体を売却する場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。
相続した不動産を売却すると税金がかかりますか?
売却によって譲渡所得が発生すれば、所得税や住民税などがかかる場合があります。
一方で、相続した空き家の3,000万円特別控除などを利用できるケースもあるため、売却前に税金について確認しておくことが重要です。
不動産の相続については誰に相談すればいいですか?
相続登記は司法書士、相続税は税理士、相続人同士の法的なトラブルは弁護士、売却や活用は不動産会社が主な相談先です。
何から始めればよいか分からない場合は、まず相続人、不動産の名義、利用予定など現在の状況を整理し、必要な専門家へ相談しましょう。
